メディア個別 アラサー女性のリアルを描く、LINEスタンプ発・漫画家の森もり子がブレイクするまで | アリシー- olab.info

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左からアリシー副編集長藤田、森もり子さん
アリシー作家連載陣企画

アラサー女性のリアルを描く、LINEスタンプ発・漫画家の森もり子がブレイクするまで

ブログやSNSから人気に火がつくクリエイターも多い昨今ですが、「OLAB」(アリシー)人気連載陣の1人である森もり子さんは、返事をくれない彼氏を追い込むLINEスタンプ、『もっと私にかまってよ!』をきっかけに漫画家として世に出た変わり種。男性作家でありながらアラサー女性の心情を的確に切り取る作風は、どのように育まれたものなのでしょうか? その人となりや創作観について、副編集長の藤田佳奈美がお聞きしました。

■ネットの世界だからこそ、自由に人格を設定したかった

藤田:森さんは長らく「性別不詳」とプロフィールに書かれていましたよね。最近になって男性であることをカミングアウトされましたが、これはなぜでしょう?

森:Twitterをはじめ、インターネットの世界では、男が女を名乗ったり女が男を名乗ったり、自由にやっていいと考えていたんです。ところが、期せずしてLINEスタンプが売れたことで、「お金が発生しているのに、なんだか騙しているみたいでイヤだな」と思うようになりました。

藤田:「森もり子」というお名前も、最初はペンネームではなくTwitterのアカウント名だったんですね。

森:そうです、OLという設定で愚痴をつぶやくアカウントでした。僕に言わせればむしろ、なぜ皆もっと性別を変えたり別人格をつくったりして遊ばないのか、不思議に思っていたくらいですよ。

藤田:なるほど。そう言われてみるとたしかに、日常からまったくかけ離れたキャラになりきるのも、一興ではありますね。でも、ある日突然「男性です」と表明したことで、びっくりした読者も多いのでは?(笑)

森:それが、意外と大きなリアクションはなかったんです。これまでもたまに、男性であることを匂わすようなツイートはしていたので、薄々察していた人が多いのかもしれませんね。

■営業マン時代の愚痴を、OL目線でツイート

藤田:今日はそんな森さんの気になる実態を、思う存分掘り下げていきたいと思うのですが、もともとは会社員をされていたんですよね?

森:はい。とくにイラストと関係のある仕事ではなく、普通に営業マンをやっていました。

藤田:それは意外なご経歴! すると、イラストの勉強はどこでされたんですか?

森:一応、デザイン系の大学を出ています。といっても、絵はあくまで趣味で描いていた程度ですけどね。

藤田:LINEスタンプを作ってみようと思ったのも、そうした趣味の一環ですか?

森:そうですね。2014年ごろ、LINEがクリエイターズスタンプのサービスを始めると聞いて、自分もやってみようと。当時すでに、Twitterのフォロワーが2万5000人くらいいたので、少しは買ってくれる人がいるのではないかという期待もありました。

藤田:OL(という設定)のつぶやきに、それほどのフォロワーが集まるのってすごいことですよね。森さんが当時から、いかに女性の心をよく理解されていたかがわかります。

森:僕としてはただ、会社員時代のリアルな愚痴を、主語を「私」に変えてつぶやいていただけなんですけどね。つまり働いている人の不満って、男も女も本質的にはあまり変わらないということかもしれません。

藤田:それって意外というか、興味深い真理ですよね。

森:僕はもともと、「男だからどう」「女だからこう」といった論調が、あまり好きではないんです。たまたまスタンプがきっかけで仕事をいただくようになったので、今こうして女性を題材に描くことが多いですが、何事も“男女差”より“個人差”のほうが大きいと思っているので。

■人生を変えたLINEクリエイターズスタンプ

藤田:そうした着眼点がまさに、返事をくれない彼氏を追い込みたい人に向けて作られたLINEスタンプ、『もっと私にかまってよ!』 に結実しているわけですね。これは森さんが漫画家として活躍する大きなきっかけになった作品ですが、リリース当初から大きな反響があったんですか?

森:当時、クリエイターズスタンプの売上げランキングで1位になったんです。おかげで、ニュース番組などで取り上げていただく機会があり、さらに注目してもらえるようになりました。

藤田:その思いがけないヒットが、会社を辞めて漫画で食べていく決意を後押しした、と。

森:そうですね、もともと遠からず辞めたいとは思っていたので。スタンプが売れて少しまとまったお金が入りましたし、出版のオファーもいくつかいただいていましたから、フリーになってもしばらくはやっていけるだろうと、その年のうちに退職しました。

藤田:そう考えると、森さんの人生にとって2014年というのは本当に激動の1年でしたね。スタンプが売れて、会社を辞めて、漫画家として初の著書が出て……。SNSを中心に作品を発表しているクリエイターさんたちにとって、希望が持てるロールモデルと言えそうです。

森:本当にありがたいことです。ただ、その一方で、SNSでどれだけ話題になっても、皆さんがびっくりするような稼ぎがあるわけではないですし、危機感もありますよ。何より僕自身もどんどん年をとっていくわけですから、いつまでもアラサー女性の日常を題材に描きつづけるわけにもいきませんし(笑)。

藤田:なるほど。後編ではそのあたりも踏まえて、ネタの集め方など森さんの仕事術について詳しくお聞きしましょう。

(後編につづく)


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(友清哲+編集/藤田佳奈美)